住宅購入の前に
住宅ローンを組むにあたって
住宅ローン 変動金利か、固定金利かはこう選べ
変動金利と固定金利どっちがお得?
住宅ローンにはさまざまな商品があります。各銀行でそれぞれ8~10種類ほどの商品を提供しています。それらの特徴を大別すると下記の表のように分類できます
商 品 | 金利の見直し | 金利の優遇条件制度 | 他の商品への変更 | 団体信用生命保険 |
---|---|---|---|---|
変動金利型 (民間銀行) |
毎年4/1と10/1 (年2回の見直し) |
有り (個別条件による最大-1.7%) |
固定金利特約型へは いつでも変更可 |
有り (自動付帯・保険料不要) |
固定金利特約型 (民間銀行) |
2・3・5・10…毎年 (固定期間終了時) |
有り (個別条件による最大-1.7%) |
固定期間終了時に 変動金利型へは変更可 |
有り (自動付帯・保険料不要) |
35年固定金利型 (民間銀行) |
金利の見直し無し | 原則無し | 変更不可 | 有り (自動付帯・保険料不要) |
フラット35 (住宅金融支援機構) |
金利の見直し無し | 原則無し (建物性能による) |
変更不可 | 無し (任意付帯・保険料要) |
変動金利型と固定金利型のどちらを選択すべきかという疑問について、一般的な回答としては「現在は低金利時代で、今後、さらに低くなる可能性は低い。だから今のうちに金利を固定しておくべき」ということで固定金利の商品をお勧めする意見が多いでしょう。インターネットや雑誌記事の論調もその方向です。しかし、不思議なことに実際に国内における新規住宅ローンの利用者の実績を見てみると、毎年、変動金利の利用者が多数派なのです。
これには上記の表にもあげた「金利優遇制度」が大きく影響しています。 例えば35年固定商品の金利が2.66%、変動金利商品が2.475%(M銀行、平成25年8月現在)だとした場合、仮に3500万円を35年払いで借入れたとすると、35年固定では月々128,144円、変動金利では月々124,654円となり、その差は3,490 円です。このくらいの差であれば、この先金利が変わらないという安心感のために支払っても良いと考える方は多いかもしれません。
「金利優遇制度」が適用されると変動金利型がぐっとお得に
ところが上記の表にも挙げたように変動金利商品には「金利優遇制度」が適用になるのです。これにより支払い額に非常に大きな差が発生する可能性があります。 「金利優遇制度」とは銀行が借入者個人の状況を踏まえ、審査することで貸出に関するリスクを評価し、リスクの度合いに応じて金利を割り引くサービスのことです。 例えば、勤務先が上場会社やその関連会社、公務員の方などがFP住宅相談ネットワーク加盟店の提携ローンを利用していただいた場合、最大で1.75%の金利割引サービスが受けられます。 そうなると変動金利商品は2.475%の金利がなんと0.725%にまで下がることになるのです。この場合、先程の条件での月々払いは94,377円となり、35年固定商品との差は月33,767円にも達します。果たして毎月33,767円も多く支払いをするのに、このような方も「35年固定商品を選ぶべき」ということが言えるでしょうか?
では、あなたは一体どのくらい金利優遇を受けられるのか?まずは事前審査で確認を
このように変動金利商品と固定金利商品を選択する際には、あなたが一体どのくらいの「金利優遇」を受けられるのか、ということが大きく影響してくるのです。
これを確認するための手段として「事前審査」という制度がありますので住宅探しを始めるのであれば早い段階で行っておいた方が良いかもしれません。
いずれにしても住宅ローン商品を選択する際に「変動金利は将来支払額が増えるかもしれないから不安だ」という感覚だけで商品を決定するのは大変な損害を被る可能性を生じ、危険です。
あえて、判断基準を申し上げるならば、
あなたの金利優遇幅を割り引いた変動金利の35年間の平均値が、現在の固定金利商品の金利を上回ると思うかどうか?
です。(上記の例で言うのであれば0.725%でスタートする変動金利の35年間の平均値が2.66%を上回ると思うかどうか?ということになります)
最終決定はご自身で。そのためにも必要な情報を提供できる専門家のコンサルティングを受けられることをおすすめします。
もし上回ると思うのであれば「固定金利」を選ぶべきでしょうし、下回ると考えるのであれば「変動金利」を選ぶべきでしょう。
また、判断のためには「金利の過去における変動の推移実績」や、支払いが始まった後に金利上昇が起きた場合の「リスク回避の方法」なども必要な情報です。
最終的にはご自身で決定しなければならないことではありますが、専門家のコンサルティングをしっかりと受けて、正しい判断ができるように十分な情報収集を行ってください。
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