住宅購入とお金の本
特集5人によって住宅ローンの金利が違う?
銀行の選び方で支払額に数百万円の差が!!
人生で最大の買物であろうマイホーム。
住宅を取得する大半の方が住宅ローンを利用されるはず。
今回は、毎年約70%の方が選択していると言われる“変動金利型”の
住宅ローンについて掘り下げてみたいと思います。
住宅ローンの種類
まずはじめに、住宅ローンの種類から見て行きましょう。大半の金融機関の住宅ローンは左の通り大別されます。
このうち、① の固定金利型については最長35年間、借りている間は借りたときの金利から変わることなく継続する住宅ローンのことです。
②の固定金利特約型は2・3・5・10年・・・といったように、借りている間の一定期間を固定金利とする住宅ローンです。固定金利期間が終わった場合どうするのかと言えば、②もしくは③の中から再度商品を選択することとなります。③の変動金利型の住宅ローンは、毎年4月1日と10月1日の年2回金利が見直しされるタイプの住宅ローンです。年2回の金利見直しの時が決まっているだけで、金利が必ず変更される訳ではありません。以上がざっくりとした住宅ローンの分類ということになります。しかし、これだけでは、何故③ の変動金利型の住宅ローンが選ばれているのか分かりませんよね。そこで浮上してくるのが“ 金利優遇制度” なのです。
金利優遇制度
この金利優遇制度というものは、貸し手から見た融資リスクの大小によって、貸し出し金利に差をつけるというものです。例えば、頭金が多いと有利とか勤務先が大規模だと有利といった具合です。
さて、この金利優遇制度、前述大別した① ~ ③の住宅ローン全てに存在するかというと、実はそうではありません。
原則②と③の商品に存在するもので、①の固定金利型の住宅ローンには原則存在しないものなのです。(※1 )ここで、ある大手銀行の平成24年12月の住宅ローンの店頭金利(抜粋)を見てみたいと思います。
金利優遇制度適用前と利用後
このようになります。これだけ見ると、変動金利型も固定金利型も余り変わらないように見えますね。
しかし、金利優遇制度(こちらの銀行の場合最大マイナス1. 6%)を適用後はどうなるのでしょうか・・
左のように変動金利型は固定金利型の半分以下の金利になる訳です。
ここで一例を挙げて比較してみたいと思います。借入期間35年で、元金3,500万円の住宅ローンを組んだ場合の変動金利型と固定金利型との比較です。但し、変動金利型については、将来の変動幅までは誰も分かりませんのであくまで借入時点での金利が継続した想定で比較することにします。
返済額の差額は、月々で27, 97 4円、35年間の総額で11,7 4 9 ,188円になります。読者の皆様は、この約117 0万円の差額が固定金利への安心料として安いと考えますか?このことと合わせ、過去15年間の変動金利の変動幅が最大0. 5% 程度だということも多数の方が変動金利型の住宅ローンを選択している理由なのだと思います。
次に、金利優遇の幅についてです。この金利優遇幅、各金融機関によってまちまちなことはご存知でしょうか?筆者が知る限り、横浜市や川崎市周辺で取り扱いを行っている金融機関の中で最大の引き幅はマイナス1.75% という金融機関です。変動金利型の貸し出し金利は0.725% ということになります。
それでは、このような金利優遇は、全ての方に公平に適用されるのでしょうか?
答えはノーです。金利優遇幅は、年齢・年収・勤務先の規模・自己資金の比率等々、各金融機関独自の複雑な審査を経た上で最終的に決定されて行きます。また、重要視する項目も各金融機関によって異なります。
他には不動産会社と金融機関との提携があるかどうかもポイントになります。不動産売買の取扱件数の多い不動産会社とそうでない不動産会社とでは金利優遇の出やすさが違うという側面もあるようです。
また、大きな金利優遇をもらうには、申し込みをする側の特徴を的確にとらえてそれに合った金融機関をチョイスできているかによっても結果は変わってきます。 ちなみに、元金3, 50 0 万円の住宅ローンで金利の優遇幅が1. 4 %の場合と1.7% のそれとでは、35年間の支払い利息だけで2 , 039 ,34 8円もの差が生じます。この20 0万円を超える支払い額の差は金融機関のチョイスによっては充分に考えられる例なのです。
住宅ローンを検討する際、直接銀行に赴いて相談することは決して間違いではないと思います。しかし、果たして他行と比較しての自行のデメリットまで的確に説明して頂けるのでしょうか? そういった意味では、住宅ローンに精通したプロフェッショナルなファイナンシャルプランナーがいる不動産会社であれば、各金融機関のメリット、デメリットを公平な視点で説明してもらえるはずです。
住宅ローンを組むのであれば、このような不動産会社を探すところから始めてみるべきだと筆者は考えますが、いかがでしょうか?
※1. フラット35 S や変動金利型と固定金利型とを組み合せする場合など、商品によっては一定の金利優遇があるものもあります。