平成28年8月の固定金利型住宅ローンの貸出金利が発表されました。
なんと、三菱東京UFJ銀行は、35年固定金利型住宅ローンの金利をついに1%を割り込んでの0.95%という、過去最低に設定しました。そこで、今後の住宅ローン選択のあり方を1級ファイナンシャルプランニング技能士(CFP)でFP住宅相談ネットワーク代表・黒須秀司講師がわかりやすく解説致します!
フラット35とは何が違うの?
固定金利型住宅ローンというと、独立行政法人住宅金融支援機構のフラット35が有名です。少しご年配の方ですと、住宅金融公庫の住宅ローンと申し上げれば馴染みがあるかと思いますが、その流れを汲むのが住宅金融支援機構のフラット(35)です。
尚、今回のテーマになっている三菱東京UFJ銀行の35年固定金利型住宅ローンというものは、銀行独自の融資を指しますのでフラット35とは異なります。フラット(35)と銀行独自融資との違いを端的に申し上げれば、団体信用生命保険(以下、団信)の自動付帯が「あるのか」・「無いのか」の差と言えるでしょう。他にも違いがありますが、今回は金利と支払い利息の比較に焦点を当てていますので、その他の詳細説明はここでは割愛することと致します。
話しを戻しますが、団信とは、債務者(主にご主人)が住宅ローンを組んだ後、万一お亡くなりになった場合をカバーするための生命保険のことです。この場合は保険金が支払われ、住宅ローン債務が0円になります。この団信が、フラット(35)の場合は自動付帯ではなく、任意加入になっているのです。もし、フラット(35)で借りて、かつ、団信に加入するのであれば、住宅ローンの返済と合わせて別途団信の保険料の支払いが必要になります。例えば、フラット35で3,500万円の住宅ローンを組んだケースであれば、初年度の団信の保険料は125,300円です。月々のご返済の他にしばらくの間は、おおむね毎月1万円近くの保険料負担があると考えると、比較的わかりやすいかと思います。この団信が、三菱東京UFJ銀行に限らず、銀行独自の住宅ローンであれば自動付帯となり、別途保険料負担無しでご加入いただけるのです。
過去の金利との比較
それでは、この35年固定金利型住宅ローンの金利が0.95%という、固定金利史上最低水準の金利に設定された訳ですが、この金利がどれほどの“破壊力”があるものなのかを考えてみたいと思います。下のグラフをご覧ください。
グラフの通り、3年前の8月の金利は2.96%、そして今年8月は0.95%ですので、わずか3年の間に1/3以下の金利水準になったということです。ちなみに、1年前と比較しても同様のことが言え、昨年8月は1.85%の金利でしたから、1年の間におおむね1/2の金利水準になったということになります。
支払利息総額での比較
金利差で比較すると、約1/3、約1/2ということになりますが、金利が低くなったことは理解できても、金額で比較するとどれほどまで差がついているかまでは、なかなかイメージが湧かないと思います。それでは、前述の金利の差を支払い利息に置き換えてみましょう。借入元金で支払い利息総額は変わることになりますから、ここでは横浜市・川崎市・東京都やその周辺地域で比較的一般的と思われる借入元金3,500万円のケースで比較します。
3年前の8月に3,500万円の住宅ローンを組んだ方と今年8月に同じ金額で住宅ローンを組んだ方とでは、35年間の支払い利息総額で、
21,245,334円-6,154,338円=15,090,996円もの差が生まれたということです。昨年8月との比較でも、
12,571,670円-6,154,338円=6,417,332円もの差になります。
いかがでしょう、0.95%という金利の“破壊力”をお分かりいただけましたでしょうか。
住宅ローン商品の選択は?
長い間、住宅ローン市場は「変動金利型」が主流を占めてきました。ここ最近でも同様の傾向にありました。しかし、固定金利で1%を切るのであれば話しは別です。この水準であれば超長期の固定金利型を選択すべきかも知れません。但し、固定金利型の注意点もあります。これまでの比較は今年8月の金利でのものです。固定金利型の商品は、毎月金利が見直されますので、その方が住宅の引き渡しを受ける月の金利が何パーセントなのかの見通しが立てづらいところにあります。このあたりのアドバイスは、是非住宅ローン専門のファイナンシャルプランナーにお尋ねください。
また、FP住宅相談ネットワーク各社では、このような金利動向の話しを含めて、それぞれの方に合った、オーダーメイドのプラン提案を行っております。例えば、ケースによっては、30年間について固定金利0.75%(!)というご提案もできるのです。是非お近くのFP住宅相談ネットワーク各社までお気軽にお問合せください。