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特集33日銀マイナス金利、住宅ローンにどのような影響を与えるか

特集33 日銀マイナス金利、住宅ローンにどのような影響を与えるか 平成28年1月29日、日本銀行(日銀)がマイナス金利導入を発表しました。 過去に例を見ないこのマイナス金利は、住宅ローンにどのような影響を与えるのでしょうか。 1級ファイナンシャルプランニング技能士(CFP)でFP住宅相談ネットワーク代表・黒須秀司講師がわかりやすく解説致します!

日銀のマイナス金利とはいったい何か?

日銀は、銀行の銀行とも呼ばれ、私たち個人が日銀に口座を開いたりすることはできません。日銀のマイナス金利とは、市中銀行が余剰資金を日銀に預ける預金がマイナス金利になることです。要は銀行が日銀にお金を預けると利息が付かず、逆にお金を取られること(逆ざや)になるのですから、銀行としてはその余剰資金を積極的に民間の会社や個人に貸し出しをすることで利息を生み出そうと考えることになり、世の中にお金が回りやすくすることで、景気を下支えしようという目的で導入された訳です。 それでは、このマイナス金利が住宅ローン金利に与える影響を解説してみたいと思います。

長期固定金利型住宅ローンへの影響

長期固定金利型住宅ローンは、長期金利に連動した商品です。少し難しい話になってしまいますが、長期金利の一般的な指標としては新発10年物国債の流通利回りというものが影響を与えます。今回のマイナス金利導入によって、銀行の余剰資金は少しでも利回りが確保できる債券市場に向かい、国債の引き受け手が増加したことで、国債の価格が上がり、結果その利回りは大幅に低下したのです。 35年固定住宅ローン金利の推移 1月と3月の支払い利息総額の比較 このことは、私たちがこれから借り入れる長期固定の住宅ローンの金利も押し下げる効果をもたらしているのです。ちなみにメガバンクの一角を占める三菱東京UFJ銀行の1月~3月各月の35年固定金利住宅ローンの貸し出し金利は右のグラフの通り大幅に低下しました。 当たり前の話ですが、固定金利の場合、融資実行月の金利が借入期間中変わらずに続くことになります。 例えば、日銀のマイナス金利導入発表前の今年1月と導入後の3月との間で、借入元金3,500万円(返済期間35年)の条件で試算・比較すると、3月に融資を受けた方は1月に融資を受けた方よりも支払い利息総額で159万円以上も得をしたことになるのです。

変動金利型住宅ローンへの影響

次に変動金利型住宅ローンです。市中銀行が取引先の優良企業に対し1年以内の短期の融資をする際、最も優遇したレートを短期プライムレート(短プラ)と言いますが、多くの銀行は、この短プラに1%を乗せた金利を変動金利型住宅ローンの店頭金利としています。現在の変動金利型住宅ローンの店頭金利は、多くの銀行で2.475%としていますが、仕組みは「短プ.475%+1%」ということなのです。この短プラは、金融機関同士が短期のお金を貸し借りする際に適用される「市中金利(無担保コール翌日物)」に連動しているのですが、この無担保コール翌日物金利も日銀のマイナス金利導入後に低下しているのです。もしかすると、日銀がかつてゼロ金利政策をとっていたときの変動金利型住宅ローンの店頭金利は2.375%でしたから、もう少し下がる余地があると言えるかも知れません。但し、変動金利型住宅ローンの店頭金利の見直しはほとんどの銀行で年2回(4/1・10/1)となっていますので、動くとすれば4月の金利からということになります。 35年固定住宅ローン金利の推移 1月と3月の支払い利息総額の比較 尚、特筆すべきは、多くの銀行が今回のマイナス金利導入で住宅ローンの貸し出しに更に力を入れてきている点です。これにより、銀行間の競争が激化しており、変動金利型の住宅ローンの店頭金利から差し引いて貸し出しをしてもらえる「金利優遇」の引き幅が過去に例を見ないほど伸びているというところが借り手にとって重要なポイントになっています。 一例ですが、今から10年前、日銀がゼロ金利政策をとっていた平成18年3月時点の変動金利型住宅ローンの店頭金利は2.375%、その頃M銀行の金利優遇幅は最大1%でした。しかし、平成28年3月現在の変動金利型住宅ローンの店頭金利は2.475%、M銀行の金利優遇幅は最大1.85%となっています。 これにより、10年前と現在との貸出金利の違いは次の通りになります。 平成18年3月 2.375%-1.00%=1.375%(貸出金利) 平成28年3月 2.475%-1.85%=0.625%(貸出金利) 実はこの金利優遇幅は借りた時から変更されない仕組みとなっていますので、先ほどの比較と同じく3,500万円の借り入れ元金で単純比較をすると、支払い利息総額が513万円も低下したことになります。(※1)

まとめ

以上のように日銀のマイナス金利導入が住宅ローンに与える影響を解説してきた訳ですが、固定金利型住宅ローンも変動金利型住宅ローンも、かつて、これほどまで金利が下がったことはありません。 現在導入されている過去最大級の住宅ローン控除は、来年12月末入居までで終了の予定です。現在であれば、借入元金3,500万円(期間35年)を変動金利型住宅ローン(金利0.625%)で借り入れした場合、夫の年収500万円、専業主婦+子供2人の4世帯であれば、所得税と住民税の戻り(控除)は10年間の合計で約225万円にもなります。 ちなみに、10年間の支払い利息だけを取り出すと約191万円(※2)です。少し乱暴な比較だとは思いますが、もし、このような比較ができるならば、当初10年間については住宅ローンもマイナス金利となることもあり得ると言えます。 住宅取得をお考えの方は、是非このチャンスを逃さないようにして頂きたいですね。 ※ 1. 返済途中の金利変動幅は考慮していません。 ※ 2. 元利均等返済の場合。尚、期間中の金利変動については考慮していません。