住宅購入とお金の本

特集15１・２月がお得！？　建売住宅業界の“裏”事情！

　お住まい探しの多くの方は、予算はなるべく低く、でも希望条件は限りなく満たした住宅にしたい・・・という気持ちで住まい探しをされていることと思います。
でも、こと不動産に関しては、昔から相場を明らかに逸脱するような、いわゆる掘り出し物は無いとされてきました。
おしなべてその通りなのですが、実際には相場を逸脱するようなお買い得物件というものも時には存在するのです。

価格決定のプロセス

　まずはじめに、新築一戸建ての建売住宅価格はどのように決められて行くのか、そのプロセスからお話ししたいと思います。
　建売業者が土地の仕入れを検討しているとします。仕入れ先は相続が絡んだ地主さんの土地、企業の社宅跡地など、さまざまなものがあります。横浜・川崎やその周辺地区では、そういった土地案件がある場合、多くの業者が入札を行い一番高い値段を付けた業者が競り落とすことになります。その入札にあたって、各建売業者は販売を請け負うことになる複数の不動産会社に対して、入札予定の土地を各区画に分割して、それぞれの区画に建物を建てて販売する場合、いくら位であればお客様に買って頂けるかのシミュレーションをするのです。
　この時点で各建売業者が同じようなプロセスを経て入札に臨むことになる訳ですから、相場を逸脱するような低い額で競り落とされることは、まずもって考えられないことになります。入札価格は、相場から逆算して算定されているので、若干の高低はあるものの、相場外の商品が発生しづらいということになるのです。

相場を逸脱するようなお買い得物件とは？

　それでは、今回のテーマともなっている相場を逸脱するようなお買い得物件というのは、どのようなものなのでしょうか。
　読者の方で、“パワービルダー”という言葉をご存知の方はいらっしゃるでしょうか？この言葉は、1990年代半ばから不動産・建築業界で使われるようになった和製英語なのですが、供給量が豊富な建売業者のことを指すものとして広まった言葉で、一般的には株式を上場している建売業者のことを指します。
　このパワービルダーが、毎年3月末の年度末に合わせて、損切りの在庫一掃の処分セールのようなものをするのです。その多くは上場企業で体力もありますから、地元の建売業者では太刀打ちできないような、正に価格破壊的な値下げで在庫を処分してくるのです。
　実際に昨年1～3月にあった例をいくつか挙げてみたいと思います。

いかがでしょう。記載の価格は当初価格と成約価格との差ですので、その間の価格変動は割愛させて頂きましたが、いずれにしても年度末にかけて、例年このようなセールが展開されるのです。

パワービルダーの特徴

　パワービルダーの特徴として、プラス面としては、住宅性能評価を受けている建物や、会社によっては長期優良住宅の認定を受けていたり、あるいは太陽光発電システムなどを標準で採用しているものもあることです。低価格で安心・安全の客観的な評価が受けられることや、ランニングコストを抑えられるというところはとても良い点だと思います。
　マイナス面としては、人によってはデザインや仕様などが画一的と捉えられることがあるかも知れません。高品質の材料・設備を大量仕入れすることで価格を下げられるという一面もありますので、似たようなものを嫌う方にとってはマイナス面として映るかも知れません。

このような物件情報の収集はどうしたらいいの？

　こういった物件情報は、力のある不動産仲介会社に集まり、時と場合によっては数日、日々価格が変動することもありますので、情報収集力・販売力のある会社とお付き合いすることが近道となるでしょう。（※1）
　このようなセール物件でご注意頂きたいことは3月末までに引き渡しができることが条件となるケースが多いことです。建売業者としては、決算や期末に合わせて売り上げ（入金）を確保したい事情からこのようなセールをする訳ですので、3月末までに引き渡しができないのであれば意味がありません。このような事情から、契約後のさまざまな手続きから逆算すると、購入契約は3月上旬がリミットということになります。
　お買い得物件を手にしたい方、この時期、一年間を通して最もお買い得な物件が出るタイミングとも言えます。このチャンスを逃さないよう心掛けましょう！